私は本当に、音楽好きかもしれない。
私の仕事は、建築だ。でも、一番好きなのは、音楽だ。
昔からずっと、音楽が好きだったさ。大学の時なんて、音楽がいつも生活の中心にあったさ。
勿論、そっちの道を、目指したこともあったさ。でも、何度も何度も踏みとどまったさ。なんでかな?
つまり私は、音楽の力を、本当に信じたかったのだ。音楽好きで、大量の音楽を聴いてきて、そういう奴が成れるのが、音楽人しかありえないのか、とね。
私はもうちょっと、音楽の力を強く信じたかった。本当に音楽が価値のあるものなら、万人にとって良い影響を及ぼすものであって欲しい、と願っていたところがあった。
だから、とまでストレートに自分の進路を決めたわけではないが、結構な割合で、そういうことを思いながら、私は、自分の進路を決めてきた。
音楽を生活の中心に置いてきた自分が、果たして他の世界でどれだけ通用するのか。勿論他の世界で、出来るだけのことはしてやる、とは思っていたが、その過程で、どれだけ音楽が助力となるのか。
その身を挺した実験は、今でも続いている。今までのことを思い返すと、役に立っていたような、足枷となっていたような、どっちつかずの実験結果だ。
今の私のフィールドは、建築だ。そしてきっと、これからもずっと、建築だ。
私の実験は続く。そして私は、音楽を好きでい続ける。